わかるNPO法人会計基準の解説~注2貸借対照表の表示方法及び計上額9貸借対照表の区分表示

テーマ:NPO法人会計基準

 

NPO法人会計基準について、制度会計(会社法、金融商品取引法、税法)が尊重すべき企業会計原則と比較しながら、その特徴を、誰もが理解できるやさしい言葉で、分かりやすく解説したいと思います。

今日は、[注2]貸借対照表の表示方法及び計上額の9.貸借対照表の区分表示について見ていきます。

 

貸借対照表は、資産の部、負債の部、正味財産の部の3部に区分し、資産の部はさらに流動資産、固定資産(有形、無形、投資その他の資産)に、負債の部はさらに流動負債、固定負債に区分します。

 

【企業会計原則とは】

企業会計の実務のなかに慣習として発達したもののなかから、一般に公正妥当と認められたところを要約したものです。

NPO法人会計基準注解[注2] 貸借対照表の表示方法及び計上額

NPO法人会計基準(同注解)

企業会計原則(同注解)

解説

<貸借対照表の区分表示>
9.貸借対照表は、資産の部、負債の部及び正味財産の部に区分する。
資産の部は流動資産及び固定資産に区分し、固定資産は、有形固定資産、無形固定資産及び投資その他の資産に区分する。負債の部は流動負債及び固定負債に区分する。
<貸借対照表原則>
(二 貸借対照表の区分)
貸借対照表は、資産の部、負債の部及び資本の部の三区分に分ち、さらに資産の部を流動資産、固定資産及び繰延資産に、負債の部を流動負債及び固定負債に区分しなければならない。
貸借対照表は、流動性配列法を原則とし、以下の3部に分かれます。
■資産の部:流動資産、固定資産(有形、無形、投資その他の資産)
■負債の部:流動負債、固定負債
■正味財産の部

流動性配列法は、資産については換金化しやすいものから、負債についても支払期日の短いものから、上から下へ順次並べていく方法です。

また、流動と固定を区分する基準は、まず法人の主目的たる事業活動の循環にある資産・負債を流動に分類し(正常営業循環基準)、それに入らなかった資産・負債について、決算日の翌日から起算して1年以内に換金・決済されるものを流動に、1年を超えるものを固定に分類します(1年基準)。

【財務諸表等の体系と構成】

NPO法人会計基準(同注解)

企業会計原則(同注解)

解説

<貸借対照表>
10.貸借対照表は、当該事業年度末現在におけるすべての資産、負債及び正味財産の状態を明瞭に表示するものでなければならない。 [注2]
<貸借対照表原則>
(一 貸借対照表の本質)
貸借対照表は、企業の財政状態を明らかにするため、貸借対照表日におけるすべての資産、負債及び資本を記載し、株主、債権者その他の利害関係者にこれを正しく表示するものでなければならない。
貸借対照表は、一時点の財政状態を表す計算書で、左側に「資産」、右側に「負債」と「正味財産」が表示され、左右はバランスします。(資産=負債+正味財産)
また、右側(負債+正味財産)は、どのように資金を調達したかという調達源泉を表し、左側(資産)は、その運用形態を表しています。

財政状態を正しく示す大原則は、すべての資産、負債、正味財産を漏れなく記載して、正しく表示することです。
したがって、簿外の資産・負債や架空の資産・負債の存在は許されません。

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