テーマ:NPO法人会計基準
NPO法人会計基準について、制度会計(会社法、金融商品取引法、税法)が尊重すべき「企業会計原則」と比較しながら、その特徴を、誰もが理解できるやさしい言葉で、分かりやすく解説したいと思います。
今日は、NPO法人に特有の取引等27.使途等が制約された寄付金等の取扱い[注5]使途等が制約された寄付等の内訳の注記について見ていきます。
使途等が制約された寄付等については、原則、その内容、正味財産に含まれる期首残高、当期増加額、当期減少額、正味財産に含まれる期末残高等を注記します。
【NPO法人に特有の取引等】
NPO法人会計基準(同注解) |
解説 |
<使途等が制約された寄付金等の取扱い> 27.寄付等によって受入れた資産で、寄付者等の意思により当該受入資産の使途等について制約が課されている場合には、当該事業年度の収益として計上するとともに、その使途ごとに受入金額、減少額及び事業年度末の残高を注記する。[注5][注6] |
寄付金については、受け取ったとき(入金時)に「受取寄付金」として収益計上します。(NPO法人会計基準第13項)
このうち使途等が制約された寄付金については、原則、その内容、正味財産に含まれる期首残高、当期増加額、当期減少額、正味財産に含まれる期末残高等を注記します。 |
[注5] 使途等が制約された寄付等の内訳の注記
NPO法人会計基準注解 |
解説 |
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21 | <使途等が制約された寄付等の内訳の注記> 使途等が制約された寄付等の内訳の注記は以下のように行う。 |
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(1) | 正味財産のうち使途等が制約された寄付等の金額に対応する金額。 | 使途が制約された寄付金等には、明確な目的に使用されるべき目的の制約、将来の一定期間または特定日以後に解除される時間の制約、あるいは両者を含むものに区分されます。
こうした使途の制約は、受け入れた資産の制約目的が達成されたとき、時間が経過したとき、あるいはその両者が達成されたときに解除されます。 |
(2) | 制約の解除による当期減少額は次のいずれかの金額による。 ①受入れた資産について制約が解除された場合、当該資産の帳簿価額。 ②受入れた資産について減価償却を行った場合、当該減価償却費の額。ただし備品又は車両等については、対象となる資産を購入して、対象の事業に使用したときに制約の解除とみなして当該取得額を減少額とすることができる。 ③受入れた資産が災害等により消失した場合には、当該資産の帳簿価額。 |
使途が制約された寄付金等について、制約が解除された場合には「使途等が制約された寄付等の内訳」の注記の当期減少額の欄に記載します。
具体的には、次のような状況を制約の解除として記載します。 (1)寄付者等の意思で定められた使途等が完了した場合 (2)制約が解除されていない資産が災害等により消失した場合は、消失した部分について制約が解除されたと考えます。 (3)制約が解除されていない資産の時価が著しく下落した場合は、下落した部分について制約が解除されたと考えます。 |
(3) | 返還義務のある助成金、補助金等の取扱い 返還義務のある助成金、補助金等について、受取助成金及び受取補助金として計上した場合、当該計上額を当期受入額として記載する。 なお、助成金及び補助金の合計額並びに未使用額は備考欄に記載することが望ましい。 |
返還義務のある助成金、補助金等について、内訳の注記を行う場合、「当期増加額」には、実際に入金した補助金等の額ではなく、あくまでも当期に計上した受取補助金等の額(収益計上額)を記載し、当期に事業の実施済みの費用の額を「当期減少額」に記載するので、「当期増加額」と「当期減少額」は同額となり「期末残高」は0となります。 そのため、収益計上額以外に、補助金等の総額や、決算期末での未使用額も一緒に見ることができる方がわかりやすいので、こうした情報(補助金等の合計額及び未使用額)を注記の「備考」欄に記載することが望まれます。 |
参考URL
「特定非営利活動促進法に係る諸手続の手引き」(内閣府・NPOホームページ)
「実務担当者のためのガイドライン」(NPO法人会計基準協議会ホームページ)