テーマ:公益法人会計基準
こんにちは。東京都台東区上野・浅草で開業しているNPO専門の公認会計士・税理士事務所「アイケイ会計事務所」です。
公益社団・財団法人や公益認定を申請する一般社団・財団法人などは、公益法人会計基準に準拠して財務諸表を作成することが求められます。
公益法人会計基準について、同じNPO(非営利組織)の会計基準であるNPO法人会計基準と比較しながら、その特徴を分かりやすく解説します。
今日は、公益法人会計基準「資産の貸借対照表価額」[注8]外貨建資産負債の決算時における換算について見ていきたいと思います。
外貨建資産負債は、決算時の為替相場による円換算額を付し、換算によって生じた差額は、当期の為替差損益として処理します。
【公益法人会計基準】
公益法人会計基準は、昭和52年の制定後、平成16年会計基準で全面的な改正がなされ、平成20年会計基準は、公益法人制度改革関連三法の成立を受けて平成20年12月1日以降開始する事業年度から実施するものとされています。
【資産の貸借対照表価額】
公益法人会計基準(同注解) |
NPO法人会計基準(同注解) |
解説 |
[注8]外貨建の資産及び負債の決算時における換算について 外国通貨、外貨建金銭債権債務(外貨預金を含む。)及び外貨建有価証券等については、子会社株式及び関連会社株式を除き、決算時の為替相場による円換算額を付すものとする。 決算時における換算によって生じた換算差額は、原則として、当期の為替差損益として処理する。 |
<外貨建取引の換算方法> 21.外貨建取引は、取引発生時の為替相場に基づく円換算額で計上しなければならない。 [注2]貸借対照表の表示方法及び計上額 |
取引価額が外国通貨で表示されている取引を外貨建取引といいます。
外貨建取引は発生したときに円換算する場合には、その取引が発生した日の為替レートで換算します。 期末に外貨建ての資産・負債がある場合は、期末日の為替レートで換算します。 《設例》 ドル建て500ドルの物品の購入について、設例を示すと次のようになります。 [1]購入時(3月10日、当日の為替レートは90円/ドル) 取引発生時の為替レートが90円/ドルであるため、円貨額90円×500ドル=45,000円で計上します。 [2]決算時(3月31日、決算日の為替レートは95円/ドル) 期末日現在において500ドルの未払金残高がありますので、決算時の為替レート95円/ドルで換算替えし、円貨額95円×500ドル=47,500円で貸借対照表に計上します。為替換算により生じた差額5円×500ドル=2,500円は正味財産増減計算書(活動計算書)に計上します。 決算日において生じた為替換算差損益は、「為替差損」もしくは「為替差益」で処理し、「為替差損」は経常費用として、「為替差益」は経常収益として計上します。 [3]支払時(4月30日、当日の為替レートは100円/ドル) 4月30日の為替レートで計算した円貨額100円×500ドル=50,000円を支払います。したがって、決算時の為替レートと異なるために決済時に生じた差額5円×500ドル=2,500円は正味財産増減計算書(活動計算書)に計上します。 決済日において生じた為替決済差損益は、「為替差損」もしくは「為替差益」で処理し、「為替差損」は経常費用として、「為替差益」は経常収益として計上します。 |
参考:NPO法人会計基準
「わかるNPO法人会計基準の解説~収益及び費用の把握と計算(その2)21外貨建取引の換算方法」
「わかるNPO法人会計基準の解説~注2貸借対照表の表示方法及び計上額14外貨建債権債務」
参考図書:公益法人・一般法人の会計実務/公益財団法人公益法人協会