NPO法人の消費税~特定収入に係る仕入税額控除の特例(特定収入に係る課税仕入れ等税額の計算)

テーマ:NPO法人の消費税

 

前回は、本則課税方式の仕入控除税額の計算方式(全額控除個別対応方式一括比例配分方式)について、非課税売上のために行われた課税仕入れ等に係る消費税を仕入控除税額から取り除く計算方法を解説しました。

NPO法人は、さらに不課税収入(特定収入)によって賄われた課税仕入れ等に係る消費税を仕入控除税額から取り除く必要があります。

 

すなわち、NPO法人は、通常、補助金、会費、寄付金等の特定収入不課税収入)を財源として、課税仕入れの一部を賄っていますが、特定収入によって賄われた課税仕入れ税額は、通常の課税仕入れ税額のように課税売上に含まれる消費税額から控除することはできません。

このように、NPO法人は、「特定収入に係る仕入税額控除の特例」が適用され、一部、最終消費者立場に立つことになります。

 

ここで、「特定収入」とは、補助金収入や寄付金収入等の不課税収入(消費税法基本通達16-2-1)のうち、借入金等、出資金、預金・貯金及び預り金、貸付回収金、返還金及び還付金(消費税法施行令75条1項一~五)以外の収入で、不課税支出、または、非課税仕入れのみに使用されたもの(消費税法施行令75条1項六)を除いたものとなります。

つまり、特定収入とは、補助金収入や寄付金収入等の不課税収入うち、課税仕入れ等に使用された可能性のあるものということになります。

 

前回説明したように本則課税方式では、消費税の計算は以下のように行われます。

消費税額=課税標準額に対する税額-仕入控除税額

 

特定収入がある場合の消費税額の計算式は、さらに複雑になり次のとおりとなります。

消費税額=課税標準額に対する税額-(通常の仕入控除税額特定収入に係る課税仕入れ等税額

 

本則課税の場合、通常の課税仕入れ等税額(通常の仕入控除税額)の計算は、全額控除の場合と、個別対応方式または一括比例配分法式を選択適用する場合の3つがありますが、NPO法人は、特定収入割合5%超の場合、この3つのケースに対応して消費税額を計算することになります。

ここで、特定収入割合とは、以下の算式で計算された割合です。

特定収入割合=特定収入額÷(税抜課税売上高+非課税売上高+免税売上高+特定収入額)

 

【全額控除】

全額控除方式による特例計算では、特定収入に係る課税仕入れ等税額は次の(1)と(2)の合計額として計算されます。

(1) 課税仕入れ等に係る特定収入の額×6.3/108

(2)(通常の課税仕入れ等税額-(1)の金額)×調整割合

(1) 「課税仕入れ等に係る特定収入」は課税仕入れ等に充てられているので、その6.3/108通常の課税仕入れ等税額に含まれていますが、特定収入によって賄われたものですから、通常の課税仕入れ等税額から控除しなければならないことになります。

(2)(通常の課税仕入れ等税額-(1)の金額)の中には、使途不特定の特定収入によって賄われた課税仕入れ等税額が含まれていますが、特定できないので、調整割合を乗じて使途不特定の特定収入で賄われた課税仕入れ等に含まれる税額を求め、通常の課税仕入れ等税額から控除することになります。

ここで、調整割合とは、その課税期間において以下の算式で求めた割合をいいます。

調整割合=使途不特定の特定収入÷(税抜課税売上高+非課税売上高+免税売上高+使途不特定の特定収入)

 

 

【一括比例配分方式】

一括比例配分方式による特例計算では、特定収入に係る課税仕入れ等税額は次の(3)と(4)の合計額として計算されます。

(3) 課税仕入れ等に係る特定収入の額×6.3/108×課税売上割合

(4)(通常の課税仕入れ等税額-(3)の金額)×調整割合

(3) 一括比例配分方式では課税売上割合に対応する部分のみ控除されるため、「課税仕入れ等に係る特定収入」の6.3/108にさらに課税売上割合を乗じて、通常の課税仕入れ等税額から控除します。

(4) 前述(2)と同様に使途不特定の特定収入で賄われた課税仕入れ等に含まれる税額を求め、通常の課税仕入れ等税額から控除することになります。

 

【個別対応方式】

個別対応方式による特例計算では、特定収入に係る課税仕入れ等税額は次の(5)と(6)と(7)の合計額として計算されます。

(5) 特定収入のうち課税売上にのみ要する課税仕入れ等×6.3/108

(6) 特定収入のうち課税売上と非課税売上に共通して要する課税仕入れ等×6.3/108×課税売上割合

(7)(通常の課税仕入れ等税額-((5)+(6)の金額))×調整割合

(5) 「課税仕入れ等に係る特定収入」のうち、課税売上のためにのみ要するものに係る課税仕入れ等税額は、個別対応方式による課税売上のためにのみ要する通常の課税仕入れ等税額に含まれるので、その収入額に6.3/108を乗じた金額を通常の課税仕入れ等税額から控除します。

(6) 「課税仕入れ等に係る特定収入」のうち、課税売上と非課税売上に共通して要するものに係る課税仕入れ等税額は、個別対応方式による課税売上と非課税売上に共通して要する通常の課税仕入れ等税額に含まれるので、その収入額の6.3/108にさらに課税売上割合を乗じて、通常の課税仕入れ等税額から控除します。

(7) 前述(2)と同様に使途不特定の特定収入で賄われた課税仕入れ等に含まれる税額を求め、通常の課税仕入れ等税額から控除することになります。

 

このように、NPO法人については、消費税の仕入税額控除の計算において公益法人等と同様に特例計算が適用され、実際の計算方法はかなり複雑になりますので、その適用にあたっては、公認会計士・税理士等の税務の専門家に相談されることをお勧めします。