テーマ:NPO法人会計基準
NPO法人会計基準について、制度会計(会社法、金融商品取引法、税法)が尊重すべき「企業会計原則」と比較しながら、その特徴を、誰もが理解できるやさしい言葉で、分かりやすく解説したいと思います。
今日は、NPO法人に特有の取引等26.ボランティアによる役務の提供の取扱いについて見ていきます。
ボランティアによる役務の提供を受けた場合も、無償又は著しく低い価格で物的サービスを受けた場合と同様に、 金銭換算して、「財務諸表に注記」または「活動計算書に計上」することができます。
【NPO法人に特有の取引等】
NPO法人会計基準(同注解) |
解説 |
<ボランティアによる役務の提供の取扱い> 26.無償又は著しく低い価格で活動の原価の算定に必要なボランティアによる役務の提供を受けた場合で、提供を受けた部分の金額を合理的に算定できる場合には、その内容を注記することができる。 なお、当該金額を外部資料等により客観的に把握できる場合には、注記に加えて活動計算書に計上することができる。 |
NPO会計基準は、ボランティアの受入れをした場合や無償又は著しく低い価格での施設の提供等の物的サービスを受けた場合において、従来どおり会計的に認識しない方法に加え、「合理的に算定できる場合」には注記でき、「客観的に把握できる場合」には注記に加えて活動計算書への計上も可能としています。
NPO法人は、ボランティアによる無償や著しく低い価格での労力の提供に支えられている部分が多く、ボランティアの労力を金額評価しないことにより、NPO法人の真の活動規模が過小評価されているとの問題もかねてから指摘されています。つまり、NPO法人の場合には、ボランティアとして労力が提供されることも多いので、営利企業などと比較して人件費の金額が低くなる傾向があることから、適正な財務比較ができないといった問題があります。 [1]ボランティアによる役務の提供については、特に会計上の処理や財務諸表への表示は行わない。 [2]-1【ステップ1】:そのボランティアによる役務の提供が「活動の原価の算定に必要な受入額である場合」か? [2]-2【ステップ2】:そのボランティアによる役務の提供の金額を「合理的に算定できる場合」には「財務諸表に注記」する。 [2]-3【ステップ3】:そのボランティアによる役務の提供の金額を「客観的に把握できる場合」には、注記をした上で「活動計算書に計上」する。 なお、活動計算書に計上する際には、「ボランティア受入評価益」と「ボランティア評価費用」をそれぞれ同額で計上し、その金額換算の根拠についても注記において明確にします。 【活動の原価の算定に必要な受入額である場合とは】 「活動の原価の算定に必要なボランティア」の具体的な事例としては、次のものが挙げられます。 一方で、「活動の原価の算定に必要なボランティア」と認識することが困難な事例としては、次のものが挙げられます。 【合理的に算定できる場合とは】 合理的に算定できる場合の具体的な事例としては、次のようなものが考えられます。 【客観的に把握できる場合とは】 ・法人所在地における厚生労働省が公表している最低賃金(時間給)を従事時間数で乗じた額 などがあります。 客観的に算定できる場合の具体的な事例としては、次のようなものが考えられます。 |
参考URL
「特定非営利活動促進法に係る諸手続の手引き」(内閣府・NPOホームページ)
「実務担当者のためのガイドライン」(NPO法人会計基準協議会ホームページ)