テーマ:NPO法人会計基準
NPO法人会計基準について、制度会計(会社法、金融商品取引法、税法)が尊重すべき「企業会計原則」と比較しながら、その特徴を、誰もが理解できるやさしい言葉で、分かりやすく解説したいと思います。
今日は、NPO法人に特有の取引等29.後払いの助成金、補助金等の取扱いについて見ていきます。
事業が先に実施され、まだ入金されていない後払いの助成金、補助金等については、対象事業の実施に伴って当期に計上した費用に対応する金額を「未収助成金」「未収補助金」として、当期の収益に計上します。
【NPO法人に特有の取引等】
NPO法人会計基準(同注解) |
解説 |
<後払いの助成金、補助金等の取扱い> 29.対象事業及び実施期間が定められている助成金、補助金等のうち、実施期間満了後又は一定期間ごとに交付されるもので、事業年度末に未収の金額がある場合、対象事業の実施に伴って当期に計上した費用に対応する金額を、未収助成金等として計上する。 |
対象事業及び実施期間が定められている助成金、補助金等について、交付決定がされていても、事業が先に実施され、補助金等は決算期をまたいで翌期に交付される場合があります。 このような後払いの補助金等で、まだ入金されていない補助金等については、対象事業の実施に伴って当期に計上した費用に対応する金額を、未収補助金等として、当期の収益に計上します。 また、使途等が制約された寄付金等に該当するので、その助成金や補助金等ごとに増加額及び減少額を注記します。 |
[注5] 使途等が制約された寄付等の内訳の注記
NPO法人会計基準注解 |
解説 |
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21 | <使途等が制約された寄付等の内訳の注記> 使途等が制約された寄付等の内訳の注記は以下のように行う。 |
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(1) | 正味財産のうち使途等が制約された寄付等の金額に対応する金額。 | 使途が制約された寄付金等には、明確な目的に使用されるべき目的の制約、将来の一定期間または特定日以後に解除される時間の制約、あるいは両者を含むものに区分されます。
こうした使途の制約は、受け入れた資産の制約目的が達成されたとき、時間が経過したとき、あるいはその両者が達成されたときに解除されます。 |
(2) | 制約の解除による当期減少額は次のいずれかの金額による。 ①受入れた資産について制約が解除された場合、当該資産の帳簿価額。 ②受入れた資産について減価償却を行った場合、当該減価償却費の額。ただし備品又は車両等については、対象となる資産を購入して、対象の事業に使用したときに制約の解除とみなして当該取得額を減少額とすることができる。 ③受入れた資産が災害等により消失した場合には、当該資産の帳簿価額。 |
使途が制約された寄付金等について、制約が解除された場合には「使途等が制約された寄付等の内訳」の注記の当期減少額の欄に記載します。
具体的には、次のような状況を制約の解除として記載します。 (1)寄付者等の意思で定められた使途等が完了した場合 (2)制約が解除されていない資産が災害等により消失した場合は、消失した部分について制約が解除されたと考えます。 (3)制約が解除されていない資産の時価が著しく下落した場合は、下落した部分について制約が解除されたと考えます。 |
(3) | 返還義務のある助成金、補助金等の取扱い 返還義務のある助成金、補助金等について、受取助成金及び受取補助金として計上した場合、当該計上額を当期受入額として記載する。 なお、助成金及び補助金の合計額並びに未使用額は備考欄に記載することが望ましい。 |
返還義務のある助成金、補助金等について、内訳の注記を行う場合、「当期増加額」には、実際に入金した補助金等の額ではなく、あくまでも当期に計上した受取補助金等の額(収益計上額)を記載し、当期に事業の実施済みの費用の額を「当期減少額」に記載するので、「当期増加額」と「当期減少額」は同額となり「期末残高」は0となります。 そのため、収益計上額以外に、補助金等の総額や、決算期末での未使用額も一緒に見ることができる方がわかりやすいので、こうした情報(補助金等の合計額及び未使用額)を注記の「備考」欄に記載することが望まれます。 |
参考URL
「特定非営利活動促進法に係る諸手続の手引き」(内閣府・NPOホームページ)
「実務担当者のためのガイドライン」(NPO法人会計基準協議会ホームページ)