【わかるNPOの法人税】《収益事業》「付随行為」

テーマ:NPO法人の法人税

 

こんにちは。東京都台東区上野・浅草で開業しているNPO法人専門の公認会計士・税理士事務所「アイケイ会計事務所」です。

NPO法人は、「法人税法上の収益事業」を営む場合に限り、その収益事業から生じた所得に対してのみ課税されることとなっています。

この「収益事業」は、法人税法に定められた34種類の事業で「継続して」「事業場を設けて」営まれるものをいいますが、それぞれの事業について、法人税法などの規則も参照しながら、分かりやすく解説したいと思います。

今日は、《収益事業》「付随行為」について見ていきます。

NPO法人が行う収益事業の「付随行為」についても、その収益事業に係る所得に含めて法人税が課税されることになります。

「付随行為」

収益事業」には、その性質上その事業に付随して行われる行為(「付随行為」)を含むとされます。

付随行為とは、以下のように、通常その収益事業に係る事業活動の一環として、又はこれに関連して行われる行為をいいます。

(1) 出版業を行う法人の出版に係る業務に関係する講演会の開催又は当該業務に係る出版物に掲載する広告の引受け

(2) 技芸教授業を行う法人の技芸の教授に係る教科書その他これに類する教材の販売及びバザーの開催

(注) 教科書その他これに類する教材以外の出版物その他の物品の販売に係る収益事業の判定については、15-1-10に定めるところによる。

(3) 旅館業又は料理店業を行う法人がその旅館等において行う会議等のための席貸し

(4) 興行業を行う法人が放送会社に対しその興行に係る催し物の放送をすることを許諾する行為

(5) 法人が収益事業から生じた所得を預金、有価証券等に運用する行為
(一部例外あり) 預金、有価証券等のうち収益事業以外の事業に属する資産として区分経理した資産を運用する行為は、「付随行為」に含めないことができます。この場合、認定NPO法人が区分経理した金額については、みなし寄付金の規定の適用があります。(法人税基本通達15-1-7)

(6) 法人が収益事業に属する固定資産等を処分する行為
(一部例外あり) 相当期間(おおむね10年以上)にわたり保有していた固定資産等の処分損益は、収益事業に係る損益に含めないことができます。(法人税基本通達15-2-10)

 

(法人税法施行令)

(収益事業の範囲)

第五条 法第二条第十三号(収益事業の意義)に規定する政令で定める事業は、次に掲げる事業(その性質上その事業に付随して行われる行為を含む。)とする。

 

(法人税基本通達)

(付随行為)

15-1-6 令第5条第1項《収益事業の範囲》に規定する「その性質上その事業に附随して行われる行為」とは、例えば次に掲げる行為のように、通常その収益事業に係る事業活動の一環として、又はこれに関連して行われる行為をいう。(昭56年直法2-16「七」、平20年課法2-5「二十九」により改正)

(1) 出版業を行う公益法人等が行うその出版に係る業務に関係する講演会の開催又は当該業務に係る出版物に掲載する広告の引受け

(2) 技芸教授業を行う公益法人等が行うその技芸の教授に係る教科書その他これに類する教材の販売及びバザーの開催

(注) 教科書その他これに類する教材以外の出版物その他の物品の販売に係る収益事業の判定については、15-1-10に定めるところによる。

(3) 旅館業又は料理店業を行う公益法人等がその旅館等において行う会議等のための席貸し

(4) 興行業を行う公益法人等が放送会社に対しその興行に係る催し物の放送をすることを許諾する行為

(5) 公益法人等が収益事業から生じた所得を預金、有価証券等に運用する行為

(6) 公益法人等が収益事業に属する固定資産等を処分する行為

(収益事業の所得の運用)

15-1-7 公益法人等が、収益事業から生じた所得を預金、有価証券等に運用する場合においても、当該預金、有価証券等のうち当該収益事業の運営のために通常必要と認められる金額に見合うもの以外のものにつき収益事業以外の事業に属する資産として区分経理をしたときは、その区分経理に係る資産を運用する行為は、15-1-6にかかわらず、収益事業に付随して行われる行為に含めないことができる。(昭56年直法2-16「七」、平11年課法2-9「二十一」、平15年課法2-7「五十三」、平19年課法2-3「四十一」、平20年課法2-5「二十九」、平22年課法2-1「三十九」により改正)

(注) この場合、公益法人等(人格のない社団等並びに非営利型法人及び規則第22条の4各号に掲げる法人を除く。)のその区分経理をした金額については、法第37条第5項《公益法人等のみなし寄附金》の規定の適用がある。

(収益事業に属する固定資産の処分損益)

15-2-10 公益法人等又は人格のない社団等が収益事業に属する固定資産につき譲渡、除却その他の処分をした場合におけるその処分をしたことによる損益は、原則として収益事業に係る損益となるのであるが、次に掲げる損益(当該事業年度において2以上の固定資産の処分があるときは、その全てに係る損益とする。)については、これを収益事業に係る損益に含めないことができる。(昭56年直法2-16「八」、平23年課法2-17「三十三」により改正)

(1) 相当期間にわたり固定資産として保有していた土地(借地権を含む。)、建物又は構築物につき譲渡(令第138条第1項《借地権の設定等により地価が著しく低下する場合の土地等の帳簿価額の一部の損金算入》の規定の適用がある借地権の設定を含む。)、除却その他の処分をした場合におけるその処分をしたことによる損益(15-1-12《不動産販売業の範囲》のただし書の適用がある部分を除く。)

(2) (1)のほか、収益事業の全部又は一部を廃止してその廃止に係る事業に属する固定資産につき譲渡、除却その他の処分をした場合におけるその処分をしたことによる損益

国税庁ホームページ 共通事項「付随行為」
収益事業に係る所得の計算等「収益事業に属する固定資産の処分損益」