一般社団・財団法人の公益認定について

テーマ:NPO

 

こんにちは。東京都台東区上野・浅草で開業しているNPO専門の公認会計士・税理士事務所「アイケイ会計事務所」です。

 

一般社団・財団法人は、公益目的事業を行うことを主たる目的とするなどの一定の基準に適合することについて、行政庁から公益認定を受けることにより、公益社団・財団法人となることができます。

公益社団・財団法人へ移行することで、「公益目的事業は収益事業であっても非課税」となるなど、税制上の優遇措置を受けることができます。

公益社団・財団法人の税制優遇については、こちらもご参照ください。 「NPOの税制優遇と組織形態について

 

それでは、一般社団・財団法人の公益認定について、詳しく見ていきます。

 

【公益認定の基準】

一般社団・財団法人は、次に掲げる基準に適合するときは、行政庁により公益認定を受けることができます。

(認定法第5条)

 

公益認定の基準

補足

1

公益目的事業を行うことを主たる目的とするものであること。

 
2

公益目的事業を行うのに必要な経理的基礎及び技術的能力を有するものであること。

 
3

その事業を行うに当たり、社員、評議員、理事、監事、使用人その他の政令で定める当該法人の関係者に対し特別の利益を与えないものであること。

 
4

その事業を行うに当たり、株式会社その他の営利事業を営む者又は特定の個人若しくは団体の利益を図る活動を行うものとして政令で定める者に対し、寄附その他の特別の利益を与える行為を行わないものであること。

ただし、公益法人に対し、当該公益法人が行う公益目的事業のために寄附その他の特別の利益を与える行為を行う場合は、この限りでない。

 
5

投機的な取引高利の融資その他の事業であって、公益法人の社会的信用を維持する上でふさわしくないものとして政令で定めるもの又は公の秩序若しくは善良の風俗を害するおそれのある事業を行わないものであること。

 
6

その行う公益目的事業について、当該公益目的事業に係る収入がその実施に要する適正な費用を償う額を超えないと見込まれるものであること。

収支相償の基準(認定法第14条)

これは、公益目的事業会計に係る(収益-費用)がゼロ以下になることの確認で、次の二段階で判定します。
第一段階・・・公益目的事業単位で事業に直接関連付けられる経常収益と経常費用を比較します。
第二段階・・・「収益事業から生じた利益の繰入額」などを調整して公益目的事業会計全体に係る収入と費用等を比較します。

7

公益目的事業以外の事業(以下「収益事業等」という。)を行う場合には、収益事業等を行うことによって公益目的事業の実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。

 
8

その事業活動を行うに当たり、(認定法)第15条に規定する公益目的事業比率が100分の50以上となると見込まれるものであること。

公益目的事業比率(認定法第15条)

公益法人は、次の算式で計算される公益目的事業比率が50%以上となるように公益目的事業を行わなければなりません。

公益目的事業比率=公益目的事業に係る事業費の額÷(公益目的事業に係る事業費の額+収益事業等に係る事業費の額+管理費の額)

9

その事業活動を行うに当たり、(認定法)第16条第2項に規定する遊休財産額が同条第1項の制限を超えないと見込まれるものであること。

遊休財産額の保有制限(認定法第16条)

公益法人は、事業年度末日における遊休財産額が、保有上限額を超えてはなりません。

遊休財産額は、次の算式で計算されます。
遊休財産額=資産の額-負債の額+(控除対象財産(※)-対応負債の額)
(※)控除対象財産は、公益目的実施のために保有する財産、積立資産、寄付を受けた財産で寄付者の定めた使途に従って保有されている財産などです。

保有上限額は、次の算式で計算されます。
保有上限額=当該事業年度の公益目的事業に係る事業費の額+特定費用準備資金への積立額

10

各理事について、当該理事及びその配偶者又は三親等内の親族(これらの者に準ずるものとして当該理事と政令で定める特別の関係がある者を含む。)である理事の合計数が理事の総数の3分の1を超えないものであること。監事についても、同様とする。

 
11

他の同一の団体(公益法人又はこれに準ずるものとして政令で定めるものを除く。)の理事又は使用人である者その他これに準ずる相互に密接な関係にあるものとして政令で定める者である理事の合計数が理事の総数の三分の一を超えないものであること。監事についても、同様とする。

 
12

会計監査人を置いているものであること。ただし、毎事業年度における当該法人の収益の額、費用及び損失の額その他の政令で定める勘定の額がいずれも政令で定める基準(※)に達しない場合は、この限りでない。

(※)
■損益計算書の収益の部に計上した額の合計額が1,000億円
■損益計算書の費用及び損失の部に計上した額の合計額が1,000億円
■貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が50億円
13

その理事、監事及び評議員に対する報酬等(報酬、賞与その他の職務遂行の対価として受ける財産上の利益及び退職手当をいう。以下同じ。)について、内閣府令で定めるところにより、民間事業者の役員の報酬等及び従業員の給与、当該法人の経理の状況その他の事情を考慮して、不当に高額なものとならないような支給の基準を定めているものであること。

 
14

一般社団法人にあっては、次のいずれにも該当するものであること。

社員の資格の得喪に関して、当該法人の目的に照らし、不当に差別的な取扱いをする条件その他の不当な条件を付していないものであること。

ロ 社員総会において行使できる議決権の数、議決権を行使することができる事項、議決権の行使の条件その他の社員の議決権に関する定款の定めがある場合には、その定めが次のいずれにも該当するものであること。

(1) 社員の議決権に関して、当該法人の目的に照らし、不当に差別的な取扱いをしないものであること。

(2) 社員の議決権に関して、社員が当該法人に対して提供した金銭その他の財産の価額に応じて異なる取扱を行わないものであること。

理事会を置いているものであること。

 
15

他の団体の意思決定に関与することができる株式その他の内閣府令で定める財産を保有していないものであること。

ただし、当該財産の保有によって他の団体の事業活動を実質的に支配するおそれがない場合として政令で定める場合は、この限りでない。

 
16

公益目的事業を行うために不可欠な特定の財産があるときは、その旨並びにその維持及び処分の制限について、必要な事項を定款で定めているものであること。

 
17

(認定法)第29条第1項若しくは第2項の規定による公益認定の取消しの処分を受けた場合又は合併により法人が消滅する場合(その権利義務を承継する法人が公益法人であるときを除く。)において、公益目的取得財産残額があるときは、これに相当する額の財産を当該公益認定の取消しの日又は当該合併の日から1箇月以内に類似の事業を目的とする他の公益法人若しくは次に掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に贈与する旨を定款で定めているものであること。

イ 学校法人

ロ 社会福祉法人

ハ 更生保護法人

ニ 独立行政法人

ホ 国立大学法人又は大学共同利用機関法人

ヘ 地方独立行政法人

ト その他イからヘまでに掲げる法人に準ずるものとして政令で定める法人

 
18

清算をする場合において残余財産を類似の事業を目的とする他の公益法人若しくは前号イからトまでに掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に帰属させる旨を定款で定めているものであること。

 

 

【欠格事由】

上記の公益認定の基準をすべて満たす場合でも、次の欠格事由のいずれかに該当する場合は、公益認定を受けることができません。(認定法第6条)

  次のいずれの欠格事由にも該当しないこと
1

その理事、監事及び評議員のうちに、次のいずれかに該当する者があるもの

イ 公益認定を取り消された場合において、その取消しの原因となった事実があった日以前1年内に当該公益法人の業務を行う理事であった者でその取消しの日から5年を経過しないもの

ロ 罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

ハ 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

ニ 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(第6号において「暴力団員等」という。)

2

(認定法)第29条第1項又は第2項の規定により公益認定を取り消され、その取消しの日から5年を経過しないもの

3

その定款又は事業計画書の内容が法令又は法令に基づく行政機関の処分に違反しているもの

4

その事業を行うに当たり法令上必要となる行政機関の許認可等を受けることができないもの

5

国税又は地方税の滞納処分の執行がされているもの又は当該滞納処分の終了の日から3年を経過しないもの

6

暴力団員等がその事業活動を支配するもの