法人化のメリットについて~個人事業主と法人の比較

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個人事業主と法人を比較し、法人化することのメリットについて分かりやすく解説します。

 

一般的に言われるメリットには、次のようなものがあります。

★取引先や金融機関からの信用が得られる。

法人として、契約主体となったり、銀行口座を開設できる。

★株式会社、有限会社、合同会社を設立した場合、会社の株主や社員は、債権者に対して、出資額以上の責任は負いません。つまり、出資者は出資額を限度として責任を負う「有限責任」です。

(一方で、個人事業の債務は、全て事業主が負担します。つまり、個人事業主の責任は「無限責任」です。)

節税効果が高い。

(所得が一定以上になると、個人より法人の方が税率が低い。欠損金9年間繰り越せる。など)

 

デメリットとして言われるのは、次のようなものです。

★登記などの事務手続が煩雑である。

交際費の一部(または全部)が損金に算入できない。

★所得の有無にかかわらず住民税の均等割が発生する。(資本金1,000万円以下の会社で年7万円

 

それでは、個人事業主と法人の違いについて、設立関係、労務関係、税務関係に分けて具体的に、詳しく説明したいと思います。

 

個人事業主

法人

(設立関係)

   
定款 作成不要 作成必要
設立登記 不要 本店所在地の法務局で設立登記をします。
登録免許税は、
合名会社、合資会社は6万円
株式会社は資本の金額の0.7%(最低税額15万円
合同会社は資本の金額の0.7%(最低税額6万円
NPO法人は0円です。
事業年度

1月1日から12月31日までの1年間

1年以内の期間で自由に決めることができます。月末で区切るのが一般的ですが、月の途中で区切っても構いません。

届出 ■「個人事業の開業届出書
開業後、1か月以内に税務署に提出します。
■「給与支払事務所等の開設届出書
従業員を雇うことになったら、1か月以内に税務署に提出します。
■「法人設立届出書
設立登記の日後、2か月以内に税務署に提出します。
■「給与支払事務所等の開設届出書
同左

(労務関係)

   
社会保険
(医療・年金)

常時5人以上の従業員が働いている事務所、工場、商店等の個人事業所は、法律で厚生年金保険及び健康保険の加入が義務づけられています。

ただし、5人以上の個人事業所であってもサービス業の一部(クリーニング業、飲食店、ビル清掃業等)や農業、漁業等は、その限りではありません。

パート、アルバイトでも、1日または1週間の労働時間および1か月の所定労働日数が、通常の労働者の4分の3以上あれば加入させる必要があります。

保険料は、事業主と労働者が折半で負担します。

常時従業員を使用する法人事業所は、法律で厚生年金保険及び健康保険の加入が義務づけられています。

パート、アルバイトでも、1日または1週間の労働時間および1か月の所定労働日数が、通常の労働者の4分の3以上あれば加入させる必要があります。

保険料は、事業主と労働者が折半で負担します。

社会保険
(雇用・労災)
労働者(パートタイマー、アルバイト含む)を1人でも雇用していれば、業種・規模の如何を問わず労働保険の適用事業となります。事業主は加入手続を行い、労働保険料を納付しなければなりません(農林水産の一部の事業は除く)。
雇用保険料は労働者と事業主の双方が負担します。
労災保険料は全額事業主が負担します。

同左

 

税務関係の両者の比較については、次回、詳しく解説します。