テーマ:NPO法人の義務と責任
NPO法人の義務とそれに違反したときに負うことになる責任について、一般のNPO法人と認定(仮認定)NPO法人の違いを対比しながら、全6回にわたって見ていきたいと思います。
第6回の今日は、NPO法人の監督と罰則について解説します。
【NPO法人の監督と罰則】
NPO法人は、毎事業年度、所轄庁に事業報告書等の書類を提出しなければなりませんが、所轄庁は、当該書類により法人の状況を把握するほか、法に基づいた監督を行います。
また、NPO法人が義務に違反した場合は、刑罰や行政罰が科せられることになります。
それでは、NPO法に規定されている所轄庁による監督と義務に違反した場合の罰則規定について、具体的に見ていきたいと思います。
【所轄庁による監督】
状況 |
監督者 |
内容 |
一般のNPO法人 |
認定(仮認定)NPO法人 |
①法令違反 ②行政庁の処分違反 ③定款違反 |
所轄庁 | 報告及び検査 | ○ | ー |
①、②、③、 ④運営が著しく適正を欠く場合 |
所轄庁 | 報告及び検査 | ー | ○ |
①、②、③、④ | 所轄庁以外の関係知事 | 報告及び検査 | ー | ○ |
①、②、③、④、 ⑤設立認証の要件を欠くに至った場合 |
所轄庁 | 改善命令 | ○ | ○ |
⑥認定の取消事由に該当する場合 | 所轄庁 | 勧告、命令 | ー | ○ |
⑥ | 所轄庁以外の関係知事 | 勧告、命令 | ー | ○ |
所轄庁が認証を取り消すことができる状況 ⅰ 改善命令に違反 ⅱ 3年以上にわたって事業報告書等を所轄庁に未提出 ⅲ 法令違反 |
所轄庁 | 認証の取消し | ○ | ○ |
「その他の事業」から生じた利益が、特定非営利活動に係る事業以外の目的に使用された場合 | 所轄庁 | その他の事業の停止命令 | ー | ○ |
所轄庁が認定を取り消さなければならない状況 ⅰ 欠格事由のいずれかに該当するとき。 ⅱ 偽りその他不正の手段により認定、仮認定、有効期間の更新又は合併の認定を受けたとき。 ⅲ 勧告命令又はその他の事業の停止命令に従わないとき。 ⅳ 認定(仮認定)NPO法人から認定の取消しの申請があったとき。 所轄庁が認定を取り消すことができる状況 |
所轄庁 | 認定(仮認定)の取消し | ー | ○ |
【罰則規定】
☆6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる場合
状況 |
一般のNPO法人 |
認定(仮認定)NPO法人 |
偽りその他不正の手段により認定、仮認定、有効期間の更新又は合併の認定を受けた者 | ー | ○ |
☆50万円以下の罰金に処せられる場合
状況 |
一般のNPO法人 |
認定(仮認定)NPO法人 |
改善命令に違反した者 | ○ | ○ |
認定(仮認定)NPO法人でない者であって、その名称又は商号中に認定(仮認定)NPO法人であると誤認されるおそれのある文字を用いた者 | ○ | ー |
他の認定(仮認定)NPO法人であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用した者 | ○ | ○ |
勧告命令に違反した者 | ー | ○ |
その他の事業の停止命令に違反した者 | ー | ○ |
☆20万円以下の過料に処せられる場合
状況 |
一般のNPO法人 |
認定(仮認定)NPO法人 |
理事、監事、清算人の責任 | ||
■登記することを怠ったとき。 | ○ | ○ |
■成立時の財産目録を備え置かず、又はこれに記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をしたとき。 | ○ | ー |
■役員の変更等をした場合で、所轄庁※1への届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。 | ○ | ○ |
■定款変更をした場合で、所轄庁※1への届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。 | ○ | ○ |
■代表者の氏名に変更があった場合で、所轄庁への届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。 | ー | ○ |
■事業報告書等、役員名簿、定款等を備え置かず、又はこれに記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をしたとき。 | ○ | ○ |
■認定申請の添付書類、寄付者名簿、役員報酬規程等を備え置かず、又はこれに記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をしたとき。 | ー | ○ |
■所轄庁※1への定款の変更に係る登記完了の提出を怠ったとき。 | ○ | ○ |
■毎事業年度1回の事業報告書等の所轄庁※1への提出を怠ったとき。 | ○ | ○ |
■2以上の都道府県の区域内に事務所を設置する認定(仮認定)NPO法人が、認定(仮認定)の通知を受けたときに、所轄庁以外の関係知事への書類の提出を怠ったとき。 | ー | ○ |
■2以上の都道府県の区域内に事務所を設置する認定NPO法人が、有効期間の更新の通知を受けたときに、所轄庁以外の関係知事への書類の提出を怠ったとき。 | ー | ○ |
■2以上の都道府県の区域内に事務所を設置する認定(仮認定)NPO法人が、定款の変更の認証を受けたときに、所轄庁以外の関係知事への書類の提出を怠ったとき。 | ー | ○ |
■認定(仮認定)NPO法人が所在する都道府県以外の都道府県の区域内に新たに事務所を設置したときに、所轄庁以外の関係知事への書類の提出を怠ったとき。 | ー | ○ |
■毎事業年度1回の役員報酬規程等の所轄庁※1への提出を怠ったとき。 | ー | ○ |
■所轄庁に報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は所轄庁による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。 | ○ | ○ |
■所轄庁以外の関係知事に報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は所轄庁以外の関係知事による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。 | ー | ○ |
■その他の義務違反 (清算、合併時) |
○ | ○ |
※1 2以上の都道府県の区域内に事務所を設置する認定(仮認定)NPO法人にあっては、「所轄庁」及び「所轄庁以外の関係知事」
☆10万円以下の過料に処せられる場合
状況 |
一般のNPO法人 |
認定(仮認定)NPO法人 |
NPO法人でない者であって、その名称中にNPO法人又はこれに紛らわしい文字を用いた者 | ー | ー |