わかるNPO法人会計基準の解説~一般原則6単一性

テーマ:NPO法人会計基準

NPO法人会計基準について、制度会計(会社法、金融商品取引法、税法)が尊重すべき企業会計原則と比較しながら、その特徴を、誰もが理解できるやさしい言葉で、分かりやすく解説したいと思います。

今日は、一般原則」の6.単一性の原則について見ていきます。

 

単一性の原則は、「実質一元、形式多元」という言葉で表されるように、会計報告において多様な形式を認めつつ、その基礎となる会計帳簿は単一であることを求めている原則です。

 

【企業会計原則とは】

企業会計の実務のなかに慣習として発達したもののなかから、一般に公正妥当と認められたところを要約したものです。

 

【一般原則】

NPO法人会計基準

企業会計原則(同注解)

解説

<単一性>
6.情報公開のため、社員総会への提出のため、助成金等の申請目的のため、租税目的のためなど、種々の目的のために異なる形式の財務諸表等を作成する必要がある場合、それらの内容は、信頼しうる会計記録に基づいて作成されたものであって、NPO法人の判断によって、事実の真実な表示をゆがめてはならない。
(七 単一性の原則)
株主総会提出のため、信用目的のため、租税目的のため等種々の目的のために異なる形式の財務諸表を作成する必要がある場合、それらの内容は、信頼しうる会計記録に基づいて作成されたものであって、政策の考慮のために事実の真実な表示をゆがめてはならない。
単一性とは、表示形式に相違はあっても、基礎となる会計記録は同じでなければならないとする、会計帳簿の単一性を求めるものです。つまり、「実質一元、形式多元」ということです。

NPO法人は、助成事業や委託事業を行う場合、その部分だけ区分して財務諸表を作成することがあります。

この場合、NPO法人全体の会計報告(①)と同時に、助成事業や委託事業の対象事業部分について、指定の科目や様式にしたがった会計報告(②)をすることになります。

①の目的は、NPO法人全体の経理状況について多数の利害関係者に情報を公開することであり、②については、資金使途の制約要件を守ったかどうかという資金提供側の関心事項に応えることが目的となります。
このように両者は目的が異なるため、様式や対象期間が異なることがありますが、「単一性の原則」により両者に矛盾がないことが求められます。

つまり、助成財団等への報告についても、正式の帳簿である法人全体の会計帳簿から作成し、対象期間や勘定科目などについて加工が必要な場合は、どのような加工をしたのかの経緯を説明できる資料を作っておくことになります。