テーマ:NPO法人会計基準
NPO法人会計基準について、制度会計(会社法、金融商品取引法、税法)が尊重すべき「企業会計原則」と比較しながら、その特徴を、誰もが理解できるやさしい言葉で、分かりやすく解説したいと思います。
今日は、収益及び費用の把握と計算(その2)17.事業収益について見ていきます。
事業収益は、販売又はサービスを提供したときに収益として計上し、対価の額をもって収益の額とします。
介護サービスを受けるための会費のような対価性のある会費は、回収可能性の有無に関わらず、サービスを提供した時点で収益計上することになります。
【企業会計原則とは】
企業会計の実務のなかに慣習として発達したもののなかから、一般に公正妥当と認められたところを要約したものです。
【収益及び費用の把握と計算ーその2】
NPO法人会計基準(同注解) |
企業会計原則(同注解) |
解説 |
<事業収益> 17.棚卸資産の販売又はサービスを提供して対価を得る場合は、販売又はサービスを提供したときに収益として計上し、対価の額をもって収益の額とする。 |
<損益計算書原則> (一 損益計算書の本質) A すべての費用及び収益は、その支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割当てられるようにしなければならない。ただし、未実現収益は、原則として、当期の損益計算に計上してはならない。 |
「受取会費」は、対価性がないため、回収可能性の観点から、実際に入金したときに収益として計上し、未収会費は回収が確実なものだけを当期の収益として計上します。 一方で、介護サービスやスポーツクラブ会費のように、「サービスや施設の利用を受けるための会費」などは、会費と提供されるサービスとの間には明白な対価関係があるため、この場合の受け取った会費は、事業収益の一部を構成するものと考えられます。 ここで、収益には確実性と処分可能性が要求され、事業収益の認識は、原則として実現主義によって行われます。 実現主義とは、次の「実現」の2要件を満たしたときに収益を認識する考え方です。 |