わかるNPO法人会計基準の解説~注2貸借対照表の表示方法及び計上額14外貨建債権債務

テーマ:NPO法人会計基準

 

NPO法人会計基準について、制度会計(会社法、金融商品取引法、税法)が尊重すべき企業会計原則と比較しながら、その特徴を、誰もが理解できるやさしい言葉で、分かりやすく解説したいと思います。

今日は、[注2]貸借対照表の表示方法及び計上額の14.外貨建債権債務について見ていきます。

 

期末に外貨建ての資産・負債がある場合は、期末日の為替レートで換算します。

決算日において生じた為替換算差損益は、「為替差損」又は「為替差益」として、経常費用又は経常収益に計上します。決済日において生じた為替決済差損益も、「為替差損」又は「為替差益」として、経常費用又は経常収益に計上します。

 

【企業会計原則とは】

企業会計の実務のなかに慣習として発達したもののなかから、一般に公正妥当と認められたところを要約したものです。企業会計原則は、1982年以来、修正が行われておらず、その後、時代に対応して会計基準が順次公表され、会計慣行を補強しています。

会計基準は、企業会計原則に優先して適用されるべき基準とされ、公正なる会計慣行に含まれると解釈されています。つまり、企業会計原則会計全般の公正なる会計慣行をまとめたものであり、個々の論点に関する会計慣行は、各会計基準に委ねられているのです。

【収益及び費用の把握と計算ーその2】

NPO法人会計基準(同注解)

企業会計原則(同注解)

解説

[注2]
<外貨建債権債務>
14.外国通貨、外貨建金銭債権債務(外貨預金を含む)、外貨建有価証券等については、決算時の為替相場に基づく円換算額を付する。
【外貨建取引等会計処理基準】

一 外貨建取引等

2 決算時の処理

(1) 換算方法

外国通貨、外貨建金銭債権債務、外貨建有価証券及び外貨建デリバティブ取引等の金融商品については、決算時において、原則として、次の処理を行う。

① 外国通貨
外国通貨については、決算時の為替相場による円換算額を付する。

② 外貨建金銭債権債務(外貨預金を含む。)
外貨建金銭債権債務については、決算時の為替相場による円換算額を付する。

③ 外貨建有価証券
イ 満期保有目的の外貨建債券については、決算時の為替相場による円換算額を付する。

ロ 売買目的有価証券及びその他有価証券については、外国通貨による時価を決算時の為替相場により円換算した額を付する。

ハ~ニ 省略

④ 省略

期末に外貨建ての資産・負債がある場合は、期末日の為替レートで換算します。

《設例》

ドル建て500ドルの物品の購入について、設例を示すと次のようになります。

[1]購入時(3月10日、当日の為替レートは90円/ドル)
取引発生時の為替レートが90円/ドルであるため、円貨額90円×500ドル=45,000円で計上します。

[2]決算時(3月31日、決算日の為替レートは95円/ドル)
期末日現在において500ドルの未払金残高がありますので、決算時の為替レート95円/ドルで換算替えし、円貨額95円×500ドル=47,500円で貸借対照表に計上します。為替換算により生じた差額5円×500ドル=2,500円は活動計算書に計上します。

決算日において生じた為替換算損益は、「為替差損」もしくは「為替差益」で処理し、「為替差損」は経常費用として、「為替差益」は経常収益として計上します。

[3]支払時(4月30日、当日の為替レートは100円/ドル)
4月30日の為替レートで計算した円貨額100円×500ドル=50,000円を支払います。したがって、決算時の為替レートと異なるために決済時に生じた差額5円×500ドル=2,500円は活動計算書に計上します。

決済日において生じた為替決済損益は、「為替差損」もしくは「為替差益」で処理し、「為替差損」は経常費用として、「為替差益」は経常収益として計上します。