わかるNPO法人会計基準の解説~注2貸借対照表の表示方法及び計上額16引当金

テーマ:NPO法人会計基準

 

NPO法人会計基準について、制度会計(会社法、金融商品取引法、税法)が尊重すべき企業会計原則と比較しながら、その特徴を、誰もが理解できるやさしい言葉で、分かりやすく解説したいと思います。

今日は、[注2]貸借対照表の表示方法及び計上額の16.引当金について見ていきます。

 

将来の特定の費用又は損失の発生に備えるため、一定の要件を満たした場合、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として計上します。これを引当金といいます。

 

【企業会計原則とは】

企業会計の実務のなかに慣習として発達したもののなかから、一般に公正妥当と認められたところを要約したものです。

【収益及び費用の把握と計算ーその2】

NPO法人会計基準(同注解)

企業会計原則(同注解)

解説

[注2]
<引当金>
16.将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつその金額を合理的に見積ることができる場合には、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として引当金に繰入れる。
[注18] 引当金について
将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として引当金に繰入れ、当該引当金の残高を貸借対照表の負債の部又は資産の部に記載するものとする。

引当金が計上できるのは、次のすべての要件を満たしたときです。
[1]将来の特定の費用又は損失であって、
[2]その発生が当期以前の事象に起因し、
[3]発生の可能性が高く、
[4]その金額を合理的に見積ることができる

代表的な例が、評価性引当金である貸倒引当金や負債性引当金である賞与引当金、退職給付引当金です。

引当金を計上する場合には、以下のように引当金の計上基準を重要な会計方針として注記する必要があります。
(3)引当金の計上基準
イ 貸倒引当金
債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。

ロ 賞与引当金
従業員の賞与の支給に備えるため、翌期賞与支給見込額のうち当事業年度に帰属する部分の金額を計上しております。

ハ 退職給付引当金
従業員の退職給付に備えるため、当事業年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき計上しております。

【退職給付引当金について】
確定給付型退職給付制度を採用している場合は、原則的に数理計算によって退職給付債務の金額を算定することになります。

しかし、退職一時金制度において、退職給付の対象となる職員数が300人未満のNPO法人、または、職員数が300人以上のNPO法人であっても年齢や勤務期間に偏りがあるなどにより原則法による計算結果に一定の高い水準の信頼性が得られないと判断される場合には、期末の退職給付の要支給額を用いた見積計算を行う等の簡便な方法によることができます。

期末要支給額は当該事業年度末において、職員が全員自己都合により退職したとするといくらになるかを算定した金額となります。

この場合の重要な会計方針の注記は、次のようになります。
ハ 退職給付引当金
従業員の退職給付に備えるため、当事業年度末における退職給付債務の見込額に基づき計上しております。なお退職給付債務は期末自己都合要支給額に基づいて計算しています。

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