わかるNPO法人会計基準の解説~その他の事業を実施する場合の区分経理23特定非営利活動以外の事業を実施する場合の区分経理

テーマ:NPO法人会計基準

 

NPO法人会計基準について、制度会計(会社法、金融商品取引法、税法)が尊重すべき企業会計原則と比較しながら、その特徴を、誰もが理解できるやさしい言葉で、分かりやすく解説したいと思います。

今日は、その他の事業を実施する場合の区分経理23.特定非営利活動以外の事業を実施する場合の区分経理について見ていきます。

 

NPO法人が定款にその他の事業を掲げて、特定非営利活動に係る事業以外の事業を行っている場合は、

活動計算書を「特定非営利活動に係る事業」と「その他の事業」に区分して表示しなければなりません。

貸借対照表を区分して表示するかどうかは、法人の任意です。

 

【企業会計原則とは】

企業会計の実務のなかに慣習として発達したもののなかから、一般に公正妥当と認められたところを要約したものです。

【その他の事業を実施する場合の区分経理】

NPO法人会計基準(同注解)

企業会計原則(同注解)

解説

<特定非営利活動以外の事業を実施する場合の区分経理>
23.特定非営利活動に係る事業の他に、その他の事業を実施している場合には、活動計算書において当該その他の事業を区分して表示しなければならない。
<損益計算書原則>
(二 損益計算書の区分)
A 二つ以上の営業を目的とする企業にあっては、その費用及び収益を主要な営業別に区分して記載する。

特定非営利活動促進法は、第5条2項において、「その他の事業に関する会計は、当該特定非営利活動法人の行う特定非営利活動に係る事業に関する会計から区分し、特別の会計として経理しなければならない」と区分経理について規定しています。
このため、法人が定款にその他の事業を掲げて、特定非営利活動に係る事業以外の事業を行っている場合には、活動計算書を「特定非営利活動に係る事業」と「その他の事業」に区分して表示しなければなりません。
定款には掲げていても、実際にはその他の事業を行っていない場合は、「その他の事業」欄すべてに「0」を記載するか、活動計算書に「その他の事業」欄は設けずに、脚注においてその旨(※今年度はその他の事業を実施していません。)を記載します。

このように、その他の事業を行っている場合は、活動計算書を区分して表示しますが、貸借対照表について区分するとなると実務的に相当複雑になり、NPO法人の事務負担が増大するため、貸借対照表を区分して表示するかどうかは、法人の任意となっています。