【わかるNPO法】NPO法人の義務「情報公開」⑩役員報酬規程等の提出

テーマ:NPO法(NPO法人の義務と責任)

 

こんにちは。東京都台東区上野・浅草で開業しているNPO法人専門の公認会計士・税理士事務所「アイケイ会計事務所」です。

 

特定非営利活動促進法(NPO法)について、NPO法人の義務とそれに違反したときに負うことになる責任を、一般のNPO法人認定(仮認定)NPO法とを比較し、NPO法の条文も参照しながら、分かりやすく解説したいと思います。

今日は、NPO法人の義務「情報公開」⑩役員報酬規程等の提出について見ていきます。

 

認定(仮認定)NPO法人は、毎事業年度1回、前事業年度の役員報酬規程等を所轄庁に提出しなければなりません。

 

【NPO法人の義務】

NPO法人は、公開された情報に基づき市民が監視するというNPO法の趣旨にかんがみ、寄付などの資金の使い道を情報公開していくことにより、支援者などへの説明責任を果たすことが求められます。

また、NPO法人は、国税である法人税、地方税である法人住民税及び事業税など様々な税金が課されます。

しかしながら、会計知識に乏しく、法令で規定された事業報告書や計算書類等の書類を所轄庁に提出していない、国税当局から源泉所得税の納付漏れ消費税の未納付について指摘されたり、法人税について収益事業の認定を受けて困惑するなどの事例もあり、それがNPO法人の現状のようです。

 

【NPO法人の義務~情報公開】

一般のNPO法人

認定(仮認定)NPO法人

第五十五条(役員報酬規程等の提出)

1 認定特定非営利活動法人は、都道府県又は指定都市の条例で定めるところにより、毎事業年度一回、前条第二項第二号から第四号までに掲げる書類を所轄庁(二以上の都道府県の区域内に事務所を設置する認定特定非営利活動法人にあっては、所轄庁及び所轄庁以外の関係知事)に提出しなければならない。

NPO法人は、毎事業年度初めの3か月以内に、前事業年度の事業報告書等の書類を作成し、事務所に備え置き、閲覧の請求があった場合には、その事務所において閲覧させなければなりません。

また、NPO法人は、事業報告書等を所轄庁に提出しなければならず、所轄庁は、閲覧又は謄写の請求があったときは、これを閲覧させ、又は謄写させなければなりません。

備置きと提出が必要となる書類は次のとおりです。

書類名

一般のNPO法人

認定(仮認定)NPO法人

所轄庁※3

閲覧期間

前事業年度の役員報酬又は職員給与の支給に関する規程
(事務所に備え置き誰でも閲覧することができる。)

誰でも閲覧又は謄写の請求ができる。)
翌々事業年度の末日まで
前事業年度の収益の明細その他の事項を記載した書類※1 ○(同上) ○(同上) 翌々事業年度の末日まで
その他内閣府令で定める書類※2 ○(同上) ○(同上) 翌々事業年度の末日まで

(脚注)

※1 収益の明細その他の事項を記載した書類

NPO法施行規則第32条第1項各号に定める次の事項を記載した書類

収益の源泉別の明細、借入金の明細その他の資金に関する事項
資産の譲渡等に係る事業の料金、条件その他その内容に関する事項
次の取引に係る取引先、取引金額その他その内容に関する事項
・収益取引、費用取引それぞれについて、上位5順位までの取引
・役員等との取引
寄付者(役員等に関する者で、前事業年度における寄付金合計額が20万円以上の者)の氏名、寄付金額及び受領年月日
給与を得た職員の総数及び当該職員に対する給与の総額に関する事項
支出した寄付金の額、相手先及び支出年月日
200万円以下の海外への送金又は金銭の持出しの金額、使途及びその実施日

※2 その他内閣府令で定める書類

次のイ~ニの認定基準に適合する旨、及び、ホのいずれにも該当しない旨を説明する書類

組織運営及び経理に関する基準(社員の表決権に関する部分を除く。)
事業活動に関する基準
(宗教活動等を行っていないこと、役員等に特別の利益を与えないこと)
情報公開に関する基準(事業報告書等を閲覧させること)
不正行為等に関する基準(法令その他公益に反する事実がないこと)
欠格事由

※3 2以上の都道府県の区域内に事務所を設置する認定(仮認定)NPO法人にあっては、「所轄庁」及び「所轄庁以外の関係知事」