公益法人会計基準について~キャッシュ・フロー計算書

テーマ:公益法人会計基準

 

こんにちは。東京都台東区上野・浅草で開業しているNPO専門の公認会計士・税理士事務所「アイケイ会計事務所」です。

 

公益社団・財団法人や公益認定を申請する一般社団・財団法人などは、公益法人会計基準に準拠して財務諸表を作成することが求められます。

公益法人会計基準について、同じNPO(非営利組織)の会計基準であるNPO法人会計基準と比較しながら、その特徴を分かりやすく解説します。

第6回の今日は、公益法人会計基準「キャッシュ・フロー計算書」について見ていきたいと思います。

 

【公益法人会計基準】

公益法人会計基準は、昭和52年の制定後、平成16年会計基準で全面的な改正がなされ、平成20年会計基準は、公益法人制度改革関連三法の成立を受けて平成20年12月1日以降開始する事業年度から実施するものとされています。

 

【キャッシュ・フロー計算書】

公益法人会計基準(同注解)

NPO法人会計基準(同注解)

解説

1 キャッシュ・フロー計算書の内容
キャッシュ・フロー計算書は、当該事業年度におけるすべてのキャッシュ・フローの状況を明りょうに表示するものでなければならない。

キャッシュ・フロー計算書は、法人の当年度におけるキャッシュ・フローの状況を報告し、法人の支払能力に関する情報を提供するものです。

公益法人会計基準に定めのあるキャッシュ・フロー計算書については、会計監査人を設置する公益社団・財団法人以外の公益法人は、作成しないことができるとされています。

会計監査人を設置しなければならない
公益社団・財団法人は、以下の基準のいずれかに該当する法人です。
■正味財産増減計算書の収益の部に計上した額の合計額が1,000億円以上
■正味財産増減計算書の費用及び損失の部に計上した額の合計額が1,000億円以上
■貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が50億円以上

2 キャッシュ・フロー計算書の区分
キャッシュ・フロー計算書は、当該事業年度におけるキャッシュ・フローの状況について、事業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー及び財務活動によるキャッシュ・フローに区分して記載するものとする。

キャッシュ・フロー計算書は、
①事業活動によるキャッシュ・フロー
②投資活動によるキャッシュ・フロー
③財務活動によるキャッシュ・フロー
に区分して記載します。

事業活動によるキャッシュ・フローには、法人の事業活動から生じるキャッシュ・フロー、投資活動及び財務活動以外の取引によるキャッシュ・フローを記載します。

なお、事業活動によるキャッシュ・フローの区分においては、「直接法」又は「間接法」のいずれかを用いてキャッシュ・フローの状況を記載しなければならないとされています。
直接法とは、事業収入、原材料又は商品の仕入れのための支出等、主要な取引ごとにキャッシュ・フローを総額表示する方法をいいます。
間接法とは、 税金等調整前当期一般正味財産増減額に、非資金損益項目、事業活動に係る資産及び負債の増減並びに「投資活動によるキャッシュ・フロー」及び「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分に含まれるキャッシュ・フローに関連して発生した損益項目を加減算して「事業活動によるキャッシュ・フロー」を表示する方法をいいます。

投資活動によるキャッシュ・フローには、固定資産の取得及び売却、特定資産の積み立て及び取り崩し等によるキャッシュ・フローを記載します。

財務活動によるキャッシュ・フローには、借入金の借入及び返済、基金の受け入れ及び返還等によるキャッシュ・フローを記載します。

3 キャッシュ・フロー計算書の資金の範囲
キャッシュ・フロー計算書には、当該事業年度における現金及び現金同等物に係る収入及び支出を記載しなければならない。

キャッシュ・フロー計算書の資金の範囲は、「現金及び現金同等物」とされています。

現金」とは、手許現金、普通預金などの要求払預金をいいます。

現金同等物」とは、容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない、取得日から満期日までの期間が3か月以内の短期投資をいいます。

 

参考:会計制度委員会報告第8号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針

参考図書:公益法人・一般法人の会計実務/公益財団法人公益法人協会