【わかる公益法人会計基準】資産の貸借対照表価額(2)債権

テーマ:公益法人会計基準

 

こんにちは。東京都台東区上野・浅草で開業しているNPO専門の公認会計士・税理士事務所「アイケイ会計事務所」です。

 

公益社団・財団法人や公益認定を申請する一般社団・財団法人などは、公益法人会計基準に準拠して財務諸表を作成することが求められます。

公益法人会計基準について、同じNPO(非営利組織)の会計基準であるNPO法人会計基準と比較しながら、その特徴を分かりやすく解説します。

今日は、公益法人会計基準「資産の貸借対照表価額」(2)債権について見ていきたいと思います。

 

債権は、取得価額から貸倒引当金を控除した額をもって貸借対照表価額とします。

 

【公益法人会計基準】

公益法人会計基準は、昭和52年の制定後、平成16年会計基準で全面的な改正がなされ、平成20年会計基準は、公益法人制度改革関連三法の成立を受けて平成20年12月1日以降開始する事業年度から実施するものとされています。

 

【資産の貸借対照表価額】

公益法人会計基準(同注解)

NPO法人会計基準(同注解)

解説

3 資産の貸借対照表価額
(2)受取手形、未収金、貸付金等の債権については、取得価額から貸倒引当金を控除した額をもって貸借対照表価額とする。
[注2] 貸借対照表の表示方法及び計上額
<引当金>
16.将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつその金額を合理的に見積ることができる場合には、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として引当金に繰入れる。
債権は、将来発生が見込まれる貸倒見積高を算定し、貸倒引当金として債権から控除する形で貸借対照表に計上されます。

引当金が計上できるのは、次のすべての要件を満たしたときです。

[1]将来の特定の費用又は損失であって、

[2]その発生が当期以前の事象に起因し、

[3]発生の可能性が高く、

[4]その金額を合理的に見積ることができる

代表的な例が、評価性引当金である貸倒引当金や負債性引当金である賞与引当金、退職給付引当金です。

【貸倒引当金について】

公益法人は、債権に対する貸倒見積高の算定に関して、企業会計の「金融商品に関する会計基準」「金融商品会計に関する実務指針」等に従って処理することとなります。

【退職給付引当金について】

公益法人会計においては、平成16年会計基準より退職給付会計が導入され、退職給付引当金の算定に当たっては、企業会計の「退職給付に係る会計基準」「退職給付会計に関する実務指針」等に従って処理することとなっています。

なお、平成20年会計基準運用指針において、退職給付会計の適用に当たり、退職給付の対象となる職員数が300人未満の公益法人のほか、職員数が300人以上であっても、年齢や勤務期間に偏りがあるなどにより数理計算結果に一定の高い水準の信頼性が得られない公益法人や原則的な方法(数理計算)により算定した場合の額と期末要支給額との差異に重要性が乏しいと考えられる公益法人においては、退職一時金に係る債務について期末要支給額(簡便法)により算定することができるものとされています。

 

参考:NPO法人会計基準 「わかるNPO法人会計基準の解説~注2貸借対照表の表示方法及び計上額16引当金

参考図書:公益法人・一般法人の会計実務/公益財団法人公益法人協会