【わかる簿記初級】決算整理⑦費用の繰延・見越

テーマ:簿記

 

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社会課題の解決に取り組む社会的企業(株式会社などの営利企業や、NPO法人や社団・財団法人などの非営利組織)のスタッフ、経理実務担当者が知っておきたい「簿記」の基礎を、日商簿記3級の試験問題を題材に分かりやすく解説します。

今日は、「決算整理」⑦費用の繰延・見越について見ていきます。

 

【問題】

次の[期末修正事項]にもとづいて、決算整理仕訳をしなさい。

[期末修正事項]
支払保険料120,000は当期の5月1日に向こう1年分を前払いしたものである。なお、会計期間は1月1日から12月31日までの1年である。

 

【解説】

●問題文を次のように分解します。

支払保険料120,000は②当期の5月1日に向こう1年分を前払いしたものである

●順番に仕訳をします。

①支払保険料120,000を支払った ので、期中において、借方(左側)に支払保険料120,000、貸方(右側)に現金120,000を計上(現金取引を仮定)していました。

借方科目
(かりかた)

金額

貸方科目
(かしかた)

金額

支払保険料

120,000

現金

120,000

②支払保険料は当期の5月1日に向こう1年分を前払いしたものである ので、決算において、当期分(5~12月の8カ月)だけを費用として計上し、翌期分(1月~4月の4カ月)を繰り延べるため、借方(左側)に40,000(=120,000×4カ月÷12カ月)を「前払費用」として記入します。

借方科目

金額

貸方科目

金額

前払保険料

40,000

支払保険料

40,000

 

【解答】

借方科目

金額

貸方科目

金額

前払保険料

40,000

支払保険料

40,000

 

【ポイント】

費用の繰延と見越は、当期の利益または損失を正しく計算するために行われる決算整理です。

(費用の繰延)
当期に支払った費用に翌期分が含まれている場合は、これを当期の費用から差し引くため、翌期にその分だけサービスを受ける権利を「前払費用」(資産)に計上します。(本問のケース)

(費用の見越)
当期分の費用にもかかわらず、支払日が翌期のため、まだ支払っていない費用がある場合は、これを当期の費用として計上するため、その分の支払義務を「未払費用」(負債)に計上します。

(翌期首の処理)
当期に繰り延べた(見越計上した)費用は、翌期首に決算整理仕訳と逆の仕訳を行って、もとの費用の勘定に振り戻します(再振替仕訳)。