【わかるNPOの法人税】《収益事業》⑫出版業

テーマ:NPO法人の法人税

 

こんにちは。東京都台東区上野・浅草で開業しているNPO専門の公認会計士・税理士事務所「アイケイ会計事務所」です。

NPO法人は、「法人税法上の収益事業」を営む場合に限り、その収益事業から生じた所得に対してのみ課税されることとなっています。

この「収益事業」は、法人税法に定められた34種類の事業で「継続して」「事業場を設けて」営まれるものをいいますが、それぞれの事業について、法人税法などの規則も参照しながら、分かりやすく解説したいと思います。

今日は、《収益事業》⑫出版業について見ていきます。

NPO法人が、書籍、雑誌、新聞などの出版物を製作して販売する事業を行うときは、「出版業」として「収益事業」に該当することになります。

【出版業】

NPO法人が会報誌を有料で会員に配布する活動は収益事業になるか。

会報誌を製作して販売する事業は、「出版業」に該当します。

出版業には、書籍や雑誌、新聞等の出版のほか、各種の名簿、統計数値、企業財務に関する情報等の印刷物等を販売する事業が含まれます。

ただし、学術、慈善その他公益を目的とする法人(NPO法人を含む。)がその目的を達成するために会報を会員だけに配布する場合であれば、有償であっても「出版業」に該当しないものとされています。

したがって、会報誌を会員だけに配布する場合は、「出版業」に該当せず、「収益事業」になりません。

なお、NPO法人の行う出版物の配布が「出版業」に該当する場合は、出版物の対価が会費等の名目で徴収されていると認められるときは、次のように取り扱います。(法人税基本通達15-1-36)

(1)会員から出版物の代価を徴収せず、別に会費を徴収している場合
⇒会費のうち出版物の代価相当額が出版業の収益とされます。

(2)会員以外から出版物の代価を徴収せず、会費等の名目で金銭を収受している場合
収受額が出版業の収益とされます。

 

(法人税法施行令)

(収益事業の範囲)

第五条 法第二条第十三号(収益事業の意義)に規定する政令で定める事業は、次に掲げる事業(その性質上その事業に付随して行われる行為を含む。)とする。

十二 出版業(特定の資格を有する者を会員とする法人がその会報その他これに準ずる出版物を主として会員に配布するために行うもの及び学術、慈善その他公益を目的とする法人がその目的を達成するため会報を専らその会員に配布するために行うものを除く。)

 

(法人税基本通達)

(出版業の範囲)

15-1-31 令第5条第1項第12号《出版業》の出版業には、各種の名簿、統計数値、企業財務に関する情報等を印刷物等として刷成し、これを販売する事業が含まれる。(昭56年直法2-16「七」により追加)

(注)

1 他の者が出版する出版物の編集、監修等を引き受ける事業は、同項第10号《請負業》の請負業に該当する。

2 出版物の取次を行う事業は、同項第1号《物品販売業》の物品販売業又は同項第20号《問屋業》の問屋業に該当する。

(会報を専らその会員に配布すること)

15-1-35 令第5条第1項第12号《出版業》に規定する「会報を専らその会員に配布する」こととは、会報を会員だけに配布することをいう。この場合において、会員でない者でその会に特別の関係を有する者に対して対価を受けないで配布しているものは会員に配布したものとして取り扱う。(昭56年直法2-16「七」、平20年課法2-5「二十九」により改正)

(代価に代えて会費を徴収して行う出版物の発行)

15-1-36 公益法人等の行う出版物の配布が令第5条第1項第12号《出版業》の出版業に該当する場合において、当該出版物の対価が会費等の名目で徴収されていると認められるときは、次に掲げる場合に応じ、次による。(昭56年直法2-16「七」により改正)

(1) 会員から出版物の代価を徴収しないで別に会費を徴収している場合には、その会費のうち当該出版物の代価相当額を出版業に係る収益とする。

(2) 会員以外の者に配布した出版物について代価を徴収しないで会費等の名目で金銭を収受している場合には、その収受した金額を出版業に係る収益とする。

国税庁ホームページ 出版業

34種類の事業一覧 「NPO法人の法人税について~収益事業の種類と具体的判定