NPO法人の法人税について~収益事業の種類と具体的判定

テーマ:NPO法人の法人税

 

今回は、法人税法上の「収益事業」の種類具体的判定について詳しく解説します。

NPO法人においては、収益事業課税が適用されるため、法人税が課税される収益事業の特定が大切となります。

 

【NPO法と法人税法の事業区分】

NPO法人において収益事業課税が行われるか否かは、1つ1つの事業ごとに個別に検討を行って、申告する収益事業を特定していくことになります。

以下の事例では、B事業とD事業から生じる所得について、法人税が課税されることになります。

事業

NPO法

法人税法

課税対象

A

特定非営利活動に係る事業 非収益事業 非課税

B

特定非営利活動に係る事業 収益事業 課税

C

その他の事業 非収益事業 非課税

D

その他の事業 収益事業 課税

 

【収益事業の種類と具体的判定】

それでは、どのような事業が収益事業に該当するのか具体的に見ていきたいと思います。

■収益事業とは■

収益事業とは、「販売業、製造業その他政令で定める事業で、継続して事業場を設けて行われるもの」をいいます。(法人税法第2条十三)

「政令で定める事業」は次の34事業であり、これらを特掲事業といいます。(法人税法施行令第5条)

法人税法上、「特掲事業」から生じる所得について、法人税が課税されることになります。

NPO法人が行う事業が、NPO法人の本来の目的たる特定非営利活動に係る事業であっても、その事業が特掲事業に該当すれば、法人税が課税されます。(法人税法基本通達15-1-1)

法人税法上の収益事業は、一般企業との競合関係の有無や課税の公平性の観点など、税法固有の理由から規定されているものであり、NPO法人においてその事業が特定非営利活動に係る事業その他の事業かは関係ありません。

 

■34の特掲事業■

1 物品販売業 13 写真業 25 美容業
2 不動産販売業 14 席貸業 26 興行業
3 金銭貸付業 15 旅館業 27 遊技所業
4 物品貸付業 16 飲食店業 28 遊覧所業
5 不動産貸付業 17 周旋業 29 医療保健業
6 製造業 18 代理業 30 技芸教授業
7 通信業 19 仲立業 31 駐車場業
8 運送業 20 問屋業 32 信用保証業
9 倉庫業 21 鉱業 33 無体財産権提供業
10 請負業 22 土石採取業 34 労働者派遣業
11 印刷業 23 浴場業
12 出版業 24 理容業

 

■収益事業の判定方法■

収益事業の判定は以下のように行います。

その事業が34の特掲事業に該当するか(YES:②へ、NO:④へ)
個別の特掲事業から除外される収益事業か(YES:収益事業に該当しない、NO:③へ)

(34の特掲事業に該当しても、法令等の規定により、個別の特掲事業から除外される場合があります。)

特に社会福祉に貢献すると認められる一定条件を満たしているか(YES:収益事業に該当しない、NO:⑤へ)

(その事業に従事する者のうち半数以上が身体障害者、生活扶助者、知的障害者、精神障害者、65歳以上の者、寡婦等に該当し、かつ、その事業がこれらの者の生活の保護に寄与している場合、収益事業の範囲から除外されます。)

特掲事業の付随行為に該当するか(YES:⑤へ、NO:収益事業に該当しない

(付随行為とは、通常、収益事業に係る事業活動の一環として又はこれに関連して行われる行為をいいます。)

収益事業に該当する

個々の事業が34の特掲事業に該当するか否かの具体的判定については、公認会計士・税理士にご相談ください。

また、弊社でも無料相談を実施しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

初回無料会計・税務相談はこちら info@ikkaikei.co.jp

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