公益法人の税制優遇措置について

テーマ:公益法人の税制優遇

 

こんにちは。東京都台東区上野・浅草で開業しているNPO専門の公認会計士・税理士事務所「アイケイ会計事務所」です。

 

一般社団・財団法人は、行政庁から公益認定を受けることにより、公益社団・財団法人として様々な税制上の優遇措置を受けることができます。

 

【税制上の優遇措置について】

Ⅰ 個人が支出した公益法人への寄付金

(A) 寄付金控除(所得控除)

個人が、公益社団・財団法人に対し寄付金を支出したときは、

寄付金の額の合計額(所得金額の40%が上限)から2,000 円を控除した金額

が寄付金控除として所得から控除されることとなります(所法78①)。

(B) 公益社団法人等寄付金特別控除(税額控除)

個人が、一定の公益社団・財団法人(※)に対し寄付金を支出したときは、(A)との選択により、

寄付金の額の合計額(原則として所得金額の40%が上限)から2,000 円を控除した金額の40%相当額(その年分の所得税額の25%が上限)

が公益社団法人等寄付金特別控除としてその年分の所得税額から控除されることとなります(措法41の18の3①)。

(※)運営組織及び事業活動が適正であること並びに市民から支援を受けていることにつき一定の要件を満たす公益社団法人・公益財団法人

【市民から支援を受けていること】

具体的には、実績判定期間(直近に終了した事業年度を含む5事業年度*)において、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

①年間収入に占める寄付金等収入の比率が5分の1以上であること。

②年間に3,000円以上寄付した個人、法人が各年平均で100人以上いること。

この要件は、基本的にNPO法人が認定を取得するための基準であるパブリック・サポート・テスト(PST)と同じ計算方法です。

* 平成23年度~25年度における申請については2事業年度とすることができます。また、設立後日の浅い法人で5年間の事業活動期間に満たない法人は、設立の日から直近に終了した事業年度の終了日までの間で判定されます。

認定NPO法人の税制優遇については、こちらをご覧ください。「個人が認定NPO法人に寄付をした場合の税制優遇について

 

 

Ⅱ 法人が支出した公益法人への寄付金

会社などの法人が公益社団・財団法人に対して支出した寄付金については、一般寄付金の損金算入限度額とは別に、別枠の損金算入限度額が設けられています(令77の2)。

一般枠=(資本金等の額×0.25%+所得金額×2.5%)×1/4
特別枠=(資本金等の額×0.375%+所得金額×6.25%)×1/2

認定NPO法人の税制優遇については、こちらをご覧ください。「法人が認定NPO法人に寄付をした場合の税制優遇について

 

 

Ⅲ 相続人が公益法人に寄付した相続財産

相続又は遺贈により財産を取得した者が、その取得した財産を相続税の申告期限までに公益社団・財団法人に対して寄付をした場合は、その寄付をした財産の価額は相続税の課税価格の計算の基礎に算入されません(措法70①)。

認定NPO法人の税制優遇については、こちらをご覧ください。「認定NPO法人の税制優遇について~相続人が認定NPO法人に寄付をした場合

 

 

Ⅳ 公益法人のみなし寄付金制度

公益社団・財団法人については、収益事業に属する資産のうちから、その収益事業以外の事業で自らが行う公益目的事業のために支出した金額は、その収益事業に係る寄付金の額とみなされ、一定の範囲内で損金算入が認められます(法37⑤、令73①三イ、令73の2)。

【みなし寄付金制度とは】

みなし寄付金制度とは、公益法人が法人税法上の「収益事業」を行っている場合、

 

収益事業から得た所得金額の50% または 公益法人特別限度額(※)のいずれか大きい金額 まで

 

収益事業に属する資産のうちから、その収益事業以外の事業で公益目的事業に該当するもののために支出した金額を、「収益事業」から「非収益事業」(公益目的事業)への寄付金とみなし損金算入を認めるものです。

 

(※)「公益法人特別限度額」とは、次のうちいずれか少ない金額をいいます。

みなし寄付金の額 または 公益目的事業実施必要額(当期の公益目的事業に係る費用の額から当期の公益目的事業に係る収入の額を控除した金額)

認定NPO法人の税制優遇については、こちらをご覧ください。「NPO法人の法人税について~みなし寄付金制度(認定NPO法人の税制優遇)